『ひぐらしのなく頃に』をプレイした感想

『ひぐらしのなく頃に』の原作(PC版,鬼隠し編,綿流し編,祟殺し編,暇潰し編)をプレイしました.冒頭に,ネタバレのない感想を書いて,後半にネタバレ有りの感想を書きます.

全体を通して(ネタバレなし)

『ひぐらしのなく頃に』はサスペンスミステリーみたいなものだと思っていて,ミステリーには興味ないや,と思っていたのですが,実際にプレイしてみると,キャラクターはかわいいですし,日常の掛け合いとかは楽しく,純粋に美少女ゲームとして楽しめました.

物語終盤の重い部分も,陰鬱な雰囲気が終始続くというような感じではないので,思っていたよりさくっとプレイできました.明るい部分と暗い部分のバランスや,全体の長さ,感情移入させ方など,プレイしていて,自分の心が読まれているようにちょうどよくできているのが面白かったです.

ふだん,美少女ゲームに「のめりこむ」ということはあまりないのですが,この作品はストーリー的にもキャラ萌え的にも,かなり好みに合っていて,ゴールデンウィークで一気にプレイしてしまいました.

キャラクターの立ち絵は独特ですが,慣れるとむしろかわいいです.表情差分は少ないですが,コミカルというか,表情の豊かさには秀でていると感じました.

演出については,BGMが良いのと,環境音(虫の鳴き声など)や主人公の心理を表す音などを使った演出が効いていて,没入感がありました.環境音を使ったゲームをやってみたいと前からずっと思っていて,今回この作品をプレイしようと思った一つの理由だったのですが,思った通りとても良かったので,こういうゲームが増えてほしいです.

ここから先は,ネタバレありの各話ごとの感想です.

↓ネタバレ

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鬼隠し編

『ひぐらしのなく頃に』というと,残虐,狂気,猟奇的という先入観があったのですが,鬼隠し編をプレイした限りではあまりそういう雰囲気は感じられず,むしろ,主人公がいつのまにか禁忌を犯し,仲間に打ち明けるタイミングを逃すうちに孤立するという,リアリティのあるストーリーで,心に刺さりました.謙虚さは大事ですね…….

物語の序盤は軽快な雰囲気で,自然に囲まれた小さな学校ののどかさを感じられて心地よいのですが,だからこそ,中盤でそれが失われていってしまう恐ろしさが際立っています.『ひぐらしのなく頃に』が残虐性のある話だというのは知っていたので,私もある程度覚悟はしていたのですが,この序盤のほのぼのとした雰囲気とのギャップはかなり堪えました.

以下,気付いたことです.

大石が初めて家に電話してきたとき,電話番号が変わったからと新しい電話番号を教えてきました.これが本当に言葉通りの意図だったのか気になります.この時代はナンバーディスプレイとかはなかったでしょうし,誰かが大石になりすまして,第三者を中継するような怪しい番号を教えているのではないかと思いました.

終盤,主人公は発狂し,金属バットを振り回すようになります.その姿は悟史や富竹の最期と共通すると言われますが,もしかすると昔からこのような現象があり,雛見沢が鬼の住む処と言われたのは,棍棒を振り回す姿が鬼と重なったからなのかもしれません.

背後に人の気配がするとか,被害妄想とかは,脳に異常が起こるとそういうことがあるというのを聞いたことがあります.主人公が風邪で診療所へ行ったときに注射を打たれていましたが,昭和の時代には風邪で注射を打つのは普通だったのでしょうか.主人公の症状が激化したのはあれがきっかけのように感じます.

そうなると,おはぎに針が入っていたというのも,本当のできごとなのかどうか怪しいです.終盤の,圭一視点で起こったことは,あまり当てにならなさそうです.

綿流し編

魅音ちゃんが最高にかわいい.詩音のふりをして女の子らしい一面を見せる魅音ちゃん,激萌え.結婚してほしい.それにひきかえ主人公は,鈍感でがさつで,ストーリー自体も,まるで恋愛ゲームで選択肢を間違えてバッドエンドになったような内容です.こんなかわいい魅音ちゃんに悲しい思いをさせる主人公は祟られても仕方ないでしょう.

このゲームでは,登場人物の台詞に,誰が発言したのかが表示されないので,入れ替わり的なトリックがあるかもしれないと思っていましたが,やはりありました.

終盤で魅音が,圭一に傷つけられたことがきっかけで鬼が目覚めたというようなことを言っていました.鬼(悪霊?禍?)は負の感情につけこんで心の隙間に入り込んでくる,みたいなのは物語でよく聞く話ですが,精神疾患で実際にそういうのがあるのでしょうか.

祟殺し編

ここまでくると,だんだん『ひぐらしのなく頃に』の世界観や登場人物に愛着がわいてくるものですが,その頃合いを待っていたかのような凄惨なエンディングで,プレイ後はしばらく放心状態でした.

中盤,主人公が鉄平を憎むあまり,沙都子や周りの意思を無視して突っ走るところは,破滅的な結末を想起させて目を背けたくなりました.独断と自己満足で意志決定するのは死亡フラグだということを,鬼隠し編と綿流し編でプレーヤーに存分に学習させた上でのこの展開は,いやらしいですね.

途中,主人公が魅音の家にお願いをしに行く場面があります.私は綿流し編の時点で完全に魅音ちゃんかわいいになっていたので,あの主人公の行動は許しがたいものに感じられましたが,そこで魅音ちゃんがとった,仲間を思いやる慈悲深い態度で,完全に魅音ちゃん大好きになりました.

終盤の常軌を逸した展開は,さながら電波ゲーといった印象でした.追加されたBGMも独特の味があり,作品の雰囲気を引き立てています.

以下,気付いたことです.

終盤,主人公が死ねと念じた人が次々と死んでいきます.主人公に神通力が宿ったように見えますが,死ねと念じたことを他人に予言してその後に死んだ,というわけではないので,主人公の意識や記憶の因果関係があやふやになっていて,予言したから死んだのだと後付けで思い込んでいただけに思えます.

入江先生が睡眠薬で自殺したというのは,特に奇妙な気がします.鬼隠し編で圭一が毒殺?されようとしたとき,監督が関与しているような発言が魅音とレナからありました.入江先生は,圭一を仕留められなかったことを咎められて誰かに殺されたのでしょうか,それとも凄惨な結末を知っていて現実逃避から自殺したのでしょうか.

火山ガスは地面を這って広がったということですが,高台に住む梨花ちゃんがあらかじめ殺されていなければ,数少ない生存者になっていたのでしょうか.

反ダム運動によって守られた雛見沢も,結局火山ガスで全滅してしまったわけですが,もしダム建設が進んで全員立ち退いていたら,この惨事は避けられたのでしょうか.そう思うと,ダム計画が持ち上がったのも,それに対して過激に抵抗したのも,この大災害に関連した裏の事情があるのではないかという気もしてきます.

暇潰し編

おっさんばっかりで潤いがない…….

梨花ちゃんとのお散歩シーンでなぜか新曲BGMが入っていて笑いました.

梨花ちゃんは本当に神通力を持っているのか,それとも,まわりにそう言われ続けてそう思い込んでいるだけなのか.ひぐらしのなく頃にの中でいちばん謎が深いキャラクターに感じます.

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