『PrismRhythm -プリズムリズム-』をプレイした感想
この前,法政大学の学祭で Lump of Sugar のトークイベントがあって見てきたのですが,その申し込み時点で私はまだ,Lump of Sugar の作品をプレイしたことがなかったので,イベント前に少し予習をしておこうと思って『PrismRhythm -プリズムリズム-』をプレイしていました.
近所のゲームショップで適当に選んだこの作品ですが,予想以上の良作だったので感想を書いておきます.ゲームプレイ歴の浅い私なんかが感想を晒すなんておこがましい気がしますが,ひとつの感想として読んでいただければと思います.
世界観について
この作品は,人類が一度滅びかけた後の未来の地球が舞台になっています.ですが,世界災害からは100年が経っており,作品の中では当時の暗い話などは全く出てきません.あくまで癒しゲーです.
シナリオ上の設定では,世界災害の時にそれまでの国や地理がごちゃ混ぜになったということになっており,主人公の名前は日本人っぽいのに,ヒロインたちの名前は横文字だったりします.物語の舞台となるアイレという島も,現代のどこの地域に当たるというようなことは書いてありません.ですが,背景や舞台の設定などをみると,イタリアのベネチアあたりの島がモデルになっているようです.
私は,外国やファンタジー世界が舞台の作品には,ゲームに限らずあまりなじみがありませんでした.そもそも,作品の舞台や風景としての日本が大好きなので,その点はこの作品にあまり期待していませんでした.しかし,ゲームを進めているうちに,その温かく美しい世界観に惹かれるようになりました.音楽や背景なども含め,この作品の世界観はとてもすばらしいと思います.
シナリオについて
この作品は癒しゲーです.どのルートも純愛ですし,陰湿な雰囲気は全くありません.
ストーリーの大きな流れは,主人公たちがそれぞれの夢をめざしながら学園生活を送り,その中でヒロインと恋愛関係になっていくというものです.夢を目指すにあたって彼らはいくつかのハードルを乗り越えていくことになるのですが,波瀾万丈がテーマのゲームではないので,基本的にシナリオは全体を通してぬるいです.
物語の中でたびたび触れられる森や妖精の神秘は,主人公の意識においてはとても大きな存在のようですが,シナリオの中でその謎へ迫るということもなく,あくまで物語の背景になっています.ですので,謎解き要素や真相解明を期待している人は物足りなく感じるかもしれません.
キャラクターについて
- エルステリア・マリーゴールド
- 私が始めに攻略したキャラクターにして,私がこの作品でもっとも好きなキャラクターです.成績がよくしっかりしていて,優しくて素直,非の打ち所のない典型的いい子キャラです.
- 土岐遠カスミ
- 2番目は銀を攻略するつもりだったのですが,どこで選択肢を間違えたのか,カスミルートに入ってしまいました.私ははじめ,カスミにはあまり興味がなかったのですが,ストーリーが進みカスミの心情が現れてくるうちに,魅力を感じるようになりました.主人公のいとこで,しっかりしたお姉さんキャラです.
- 水音銀
- 私がカスミの次に攻略したキャラです.ロリキャラです.主人公,というより男の人全般が嫌いなようで,はじめのうちは冷たい態度をとられます.ですが,話が進んでいくうちにわだかまりがなくなっていきます.好きなんだけど素直になれない,といういわゆるツンデレではないので,恋愛関係になったあとはデレデレです.
- リア・ベルリオーズ
- 私が最後に攻略したキャラです.活発で主人公を度々からかっている,典型的な元気系キャラです.セクハラっぽい話で主人公たちをからかう割に,恋愛関係になった後で主人公が甘い言葉をかけたりすると,すごい勢いで恥ずかしがります.典型的です.
基本的に,どのヒロインも恋愛関係になった後はデレデレになります.私はこれで満足ですが,人によっては物足りなく感じるかもしれません.
BGMについて
この作品のBGMのよいところは,なんといっても世界観とよくマッチしていることです.この手のゲームのBGMは,明るい・暗い・悲しい・怖いなどの大まかな感情さえ表現できれば,使い回しや取り替えがききそうなものが多いです.しかし,このプリズムリズムでは,BGMと世界観が非常によくあっており,物語の雰囲気をより感覚的に感じられます.
曲の具体的な特徴としては,生楽器,特に弦楽器の音色を中心に使っている曲が多く,全体的に,私たちの想像するイタリアのおしゃれな雰囲気が感じられます.曲単独で名曲といえるようなものは私は見つけられませんでしたが,全体の質はとても高いと思います.
それから,タイトルのBGMはクリア前とクリア後で2種類あり,両方とも作品中のBGMのメドレーになっています.一通りクリアした後に聞くと作品の雰囲気が想起されて楽しいです.1ループが長めなので,単独で作業用BGMとしても使えると思います.
テーマソングについて
この作品は,オープニングテーマが一つと,それぞれのヒロインごとにエンディングテーマがあります.オープニングテーマは公式サイトで公開されているとおり,『Pure My Voices』(ave;new feat.佐倉紗織)で,エンディングテーマはそれぞれのヒロインの声優さんが歌うキャラクターソングです.
これらについては私はあまり関心がないのでなんともいえませんが,オープニングテーマはプロが歌っていますし,エンディングテーマもどの声優さんも上手だと思います.
キャラ絵について
文句なしです.とてもきれいでかわいいです.
背景について
とてもきれいです.建物や町並みなどの独特な雰囲気もよくでています.森の風景もとても美しいです.
システムについて
セーブデータを保存できるスロットは100個あります.データの上書きロックはできますが,コメントなどは付けられません.クイックセーブ機能はもちろんあります.こちらは10回分の履歴が残りますので,うっかり操作ミスでクイックセーブを上書きしてしまっても安心です.
メッセージ履歴は,場面や選択肢をまたいで遡れます.ボイスはもちろん聞き直せますし,選択した場面へ,ロードと同じように戻ることもできます.データをロードしたときも,その時点での履歴がきちんと復元されますので,久しぶりのプレイで話の流れを忘れてしまっていても,履歴をさかのぼって確認することができます.
システム設定はかなり細かく設定することができます.フルスクリーンモード時はワイドディスプレイ用にアスペクト比を修正できますが,16:10のディスプレイを想定しているので,16:9,5:4のようなアスペクト比のディスプレイを使用していて,かつグラフィックボードに修正機能がついていない場合は,正しく表示されません.
総合的に
面白い作品とは言い難いですが,とても良い作品だと思います.世界観,音楽,絵,ともにすばらしいですし,キャラクターにも十分萌えられます.
ここまでを読むと,そんなにシナリオがつまらないのか,と思われるかもしれませんが,とても面白いというわけではない程度であって,つまらなかったり不快だったりするようなことは全くありません.そもそも,もしストーリーがもっと波瀾万丈だったり,ずっしりと重かったりしたら,私はこの作品の世界観をここまで感じられなかったでしょうし,この作品を好きになれなかったと思います.
ゲームというものに何を求めるかによってこの作品の評価は大きく変わると思いますが,絵や世界観,PVなどに惹かれたら,プレイしてみてはいかがでしょうか.
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